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トップ > 本物へのこだわり > 海に吹く風、森が息づく空気 〜ふたつの北の自然へのこだわり〜

ときに、未来を設計する詩人
ブレンドの技と心

「本物を」つくり続ける伝統

竹鶴政孝の信念、それは、本場スコットランドに負けない本物のウイスキーをつくり続けること。政孝は一貫してウイスキーづくりにおけるブレンドの重要性を説き、それを実践しました。

竹鶴政孝いわく、
「私は、このブレンドの技術を、ウイスキーの本場スコットランドで徹底的にたたきこまれてきた。

そして今でも、本場の酒づくりを驚かすだけの感覚を備えているという自信を持っている。私はまた、この技術を余市工場に働く技師たちの一人一人に、徹底的に教えこんだ。」

ニッカ・ブレンダーチームにはこんなエピソードがあります。
1983年、竹鶴威の教えを受けた当時のチーフブレンダーが渡英。そこでスコッチの専門ブレンダーが平均80点というウイスキーのテイスティングに挑戦し、100点満点という成績で周囲を驚かせました。

政孝亡き後のことでしたが、まさに、ニッカウヰスキーのブレンドの高い水準が受け継がれていた証といえるでしょう。

さて、個性の違うモルトやグレーンをブレンドし、その香りと味わいのハーモニーを創り出す技は、ときに“芸術”とまで例えられます。「まだ風が冷たい春の野原」、「初秋の風」、「温和で上品な物腰の紳士」…これらは、ブレンダーがウイスキーのテイスティングノートとして記した、何とも詩的な香りの表現。その一方で、ブレンダーの仕事は、嗅覚などの官能能力だけでは成り立たないといいます。その内容は大きく分けて3つ。

[1]新商品のブレンドレシピ開発
[2]既存商品がレシピ通りにつくられているかどうかの品質管理
[3]次世代の商品づくりのための原酒開発と管理

樽ごとに異なるすべてのウイスキーの個性と在庫状況を把握、変わらぬ香りと味わいになるよう微調整を加えながらブレンドし、安定的に供給できる生産計画を立てる。
10年後にどんなモルトが必要とされるかを予想し、樽に貯蔵する。貯蔵中のモルトの熟成度合いを見極める。
ブレンダーには、ウイスキーづくりのトータルマネジメント能力が必要なのです。

加えて、ニッカならではといえるブレンダーの心構えがふたつ。それは、竹鶴政孝が目指した「本物のウイスキーづくり」を継承すること。そして、お客様が求める新たなウイスキーづくりに果敢に挑戦すること。

ニッカの第1号ウイスキーは、どんなに経営が苦しくても熟成途中で発売されることはなく、初代マスターブレンダーの竹鶴政孝自身が「本物」と認めた末に世に送り出されたものでした。

シングルモルトをお求めやすい価格で。
ノンピートの飲みやすいウイスキーを。
世界でも例を見ないオールモルト製法の味わいを。

ニッカのブレンダーたちが生み出したウイスキーのすべては、その時代に新しい提案をお届けしてきました。
ニッカ・ブレンダーチームの「本物」へのこだわりは、過去から現在まで変わることなく、そして既に10年後、20年後の未来へとつながっています。

火を操る職人
石炭直火蒸溜の技と心

”余市の味”が出る限り、守り続けていく意味がある

ポットスチルを直火焚きで蒸溜する蒸溜所は、スコットランドでも数えるほどしかなくなりました。しかも現在はガス燃料の使用が主流となり、「石炭直火蒸溜」を行う余市蒸溜所は世界でも稀な存在です。

1934年の創業以来、受け継がれる「石炭直火蒸溜」。
ポットスチルの下にある扉の窓からは、真っ赤な炎がのぞいています。職人がサクッと石炭の山にスコップをさし、扉の中へ石炭を撒けばパチパチとはじけ、やがて勢いを増す炎。蒸溜が始まると15分おきに火を窺い、石炭をくべます。その火加減を体得するまで10年。

「最初は強く、後はとろとろとろとろと焚きなさい。温度は上げすぎないように」というのがずっと受け継がれてきた先輩たちの教え。
「静かにゆっくり焚いたらいい香りの酒ができる」とはいえ、すべては見よう見まね、身体で覚えていくしかなく、スコップに入れる石炭の量も見逃すことはできません。

「とろとろとろとろ」ゆっくりと温度を上げすぎずに焚くというのが、実はかなり難しい。
蒸溜を始めてから3時間くらいが微妙で、強めたり、弱めたり。3時間を過ぎればほぼ大丈夫とのこと。また、石炭くべが難しい一方で、燃えかすを取り出すタイミングも重要。燃えかすが残って燃焼が悪くなると、即、蒸溜に影響が出ます。

まさに火と闘い、火を操る職人。直火焚きのベテランにこの仕事の誇りを伺えば、「本当に“優れた”製法かどうかはわからない。効率はよくない。一日働いたら真っ黒になる(笑)。
でも、これが香り豊かで力強い“余市の味”を生み出すと言われている。ならば、価値がある。
どんなに機械化が進んでも、石炭直火蒸溜を守り続けていく意味がある。」

「若い人は覚えが早いから何も心配していない」というのもベテランの一言。「石炭直火蒸溜」の技術は、すでにしっかりと伝承済みのようです。