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- 余市蒸溜所×Esquire
雑誌エスクァイア日本版(2008年4月号)誌上に掲載された特集、
『ニッカウヰスキー余市蒸溜所』を訪ねる。北へジャパニーズウイスキーの故郷へ。 の一部をご紹介します。

北海道に着いた翌朝、余市蒸溜所を訪ね、工場見学ツアーに参加する。
厳冬期の朝の清々しい光が反射する雪の中、工場内の蒸溜棟、発酵棟、貯蔵庫などを巡り、女性ガイドの丁寧な説明に耳を傾ける。
彼女が博物館内で、竹鶴と彼の最高の理解者であり、伴侶であったリタについて語る様子は誇らしげでもあり、その姿にも心を打たれた(詳しくは竹鶴の自伝や評伝を読んでいただきたい)。ハイシーズンには一度に百人以上の見学者が来訪することもあり、海外からのゲストも多いそうだ。 最後に試飲コーナーでウイスキーの説明を聞き、約1時間でツアーはお開きになる。
蒸溜釜を見学した際に「今日蒸溜したアルコールがウイスキーになるのは早くて5年、長いと20年以上後です」とガイドは説明してくれた。改めて考えると、この蒸溜所で働く人々は皆、長い年月の熟成を経て、次の世代に評価されるウイスキーのため、今日の仕事を捧げているのだ。
竹鶴も同じ想いだったのだろうか。






長い旅でも短い旅でも、旅の終わりにはウイスキーがいい。
都心の雪が雨に変わった夜、盛り場のバーを訪ね「ニッカのウイスキーは何がありますか」と尋ねる。
「珍しいのがありますよ」と、カウンターのライトに映し出されたのは、余市蒸溜所限定のシングルカスクの原酒だった。
「実は私も先日、余市に行ってきたんです」。
「そうですか」と破顔するバーテンダー。「良いところだったでしょう。なんかこう、知らない国に行ったみたいな……」。
20年の原酒の香りを水割りで楽しみながら、しばし自分自身の20年の記憶を遡る。
ウイスキーを飲むことも、旅なのだと思った。

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