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ウイスキーはモルトウイスキーから始まりました。
大麦麦芽を原料に単式蒸溜器(ポットスチル)で蒸溜されるモルトウイスキーが、
ウイスキーの様々な個性をつくり出します。

モルトウイスキーは、ブレンデッドウイスキーの香味を決定づける大切な要素。厳選された二条大麦の麦芽(モルト)からモルトウイスキーがつくられます。
粒のそろった大麦麦芽を選び、水に浸けて発芽させた後、乾燥させます。乾燥させることで発芽が一定のところで止まり、大麦麦芽を粉砕するための下準備になります。ピート香と呼ばれるウイスキー独特の香りは、乾燥時に使用されるピート(草炭)をいぶす事で大麦麦芽にしみ込まれます。

乾燥させた後の大麦麦芽を粉砕し、糖化槽に入れます。そこに約60℃の温水を加えて攪拌すると、大麦麦芽に含まれる酵素の働きが活性化し、大麦のデンプンが麦芽糖に変化します。こうして生まれた甘い麦汁が糖化液です。

醗酵槽に移した甘い麦汁(糖化液)に酵母を加えて、醗酵を促します。およそ72時間で麦汁に含まれた糖が醗酵し、7〜8%のアルコール分を含んだビール状の液体に変化。次の蒸溜の工程に移ります。

蒸溜は発酵液からアルコールと香味を取り出すために行うもので、単式蒸溜器(ポットスチル)を使って2回行われます。初溜(1回目の蒸溜)で発酵させた麦汁は、アルコール分が20%程度の液体。さらに再溜(2回目の蒸溜)すると、アルコール分約70%の蒸溜液になります。蒸溜によって成分を取り出すことができるのは、水とアルコールの沸点に差があるため。1気圧のもとで水の沸点が100℃であるのに対し、アルコールは約78℃。この差によって、アルコールと香味成分を得ることができるのです。
アルコールと、それ以外の望ましい香味成分を効率的に取り出すために、蒸溜器の容積や形状、過熱の手段など、さまざまな方法が工夫されています。

蒸溜液は樽に詰められて、貯蔵庫で熟成に入ります。蒸溜液が歳月を経て、無色透明から琥珀色に変化していく、この工程を熟成といいます。その昔、貯蔵容器、運搬容器として使われはじめた木の樽が、いまではウイスキーを熟成させるために必要不可欠になりました。代表的な樽材としてはホワイトオークが知られていますが、シェリー酒の空樽が使われることもあります。新樽を使う場合、ウイスキーの刺激臭を吸収するために、普通内側を火で焼きます。この焼き具合が、ウイスキーの熟成に微妙に影響するのです。
熟成には樽の材質や容積、貯蔵される際の庫内での場所、積み上げる段数、湿度や温度といった要素が複雑に作用し、樽から木材成分が溶け出したり、樽材を通して空気と接触することによっても蒸溜液のさまざまな成分が変化します。
こうした条件が微妙に絡み合って、ウイスキーらしい豊かな味わいと深い香りが生まれるのです。