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第30話

第30話

ウイスキーの楽しみ方

「ウイスキーの楽しみ方」というと、オン・ザ・ロック、ストレート、水割りなど“飲み方”を思い浮かべる人が多いと思う。日本酒やワインのように“食事と一緒に”、というよりは、バーのカウンターや部屋でチビリチビリ、という印象が強い酒である。

ニッカウヰスキーに入社して55年が過ぎたが「竹鶴さんは、お酒と言えばウイスキーですか?」「たまには他の酒(ビール、日本酒など)も飲むんですか?」と、よく尋ねられたものだ。確かにウイスキーはよく飲むが、他の酒を飲まないということはない。

政孝親父も著書『ウイスキーと私』にこう記している。
「自分の楽しめる範囲で、いろんな酒を飲むのは大賛成である。フランス料理で魚を食べるときにはホワイト・ワインを、肉だったらクラレットが出る。そういうふうに、料理に合わせた酒の飲み方がある。日本の場合にも、最初はノドがかわいているからビールを飲む。
サシミが出てきてから日本酒を飲む。食事の終りかけにウイスキーを飲む、こうした飲みかたも悪くないと思う。私がウイスキー一途といっても、酒はウイスキー以外は飲まないかというと、そんなことはない。ノドのかわいているときのビールはうまいし、フランス料理にはワイン、日本料理のときは日本酒を飲むことがある。今の流行語でいうT・P・O(時・所・場合)で飲み分け、楽しむのが“酒”だと思っている」私も日本食のときは日本酒をよく飲む。たまにウイスキーを飲むこともあるが、そのときは氷は1つか2つ。水は室温が良い。あまり冷た過ぎるとウイスキーの香りが抑えられてしまうからである。

ある日本料理店の当主が、実にうまいウイスキーの水割りをつくることに成功した話をしてくださった。「一体、どんなつくり方をしたんですか?」と尋ねたところ、「水割りの、水割りなんですよ」という不思議な答えが返ってきた。『スーパーニッカ』の水割り缶を割り水の代わりに使ったのである。『スーパーニッカ』の水割り缶が発売されたのは、平成5年4月。ウイスキー類、スピリッツなどの度数比例逓減税率の施行つまり酒税法が改正(※)されたことで待望の水割りウイスキーを発売する事ができるようになったのである。水割りといっても、単に既存製品を水で割ったのではなく、徹底的に水を研究、吟味し、香味を充分に保たせる特別なブレンドでつくった。『スーパーニッカ』の水割り缶はアルコール度数が9度なのでミネラルウォーターで割るよりアルコール度数が高くなるが、ウイスキーの量を調整すれば何の問題もない。それにしても、よくぞ考えついたものである。

また、ウイスキーは意外な食べ物と相性が良い。政孝親父もたまにこれを食しながら大好きなハイニッカを楽しんでいた。これ、というのは、超極薄焼きの小さな四角の煎餅で、私も時々ウイスキーと一緒に口にすることがある。パリパリとした食感、うすい醤油の芳ばしい香りがウイスキー独特の香味をひきたて、お茶ならぬウイスキーがすすむ。

われわれ日本人の生活に馴染みが深い醤油だが、あの独特の香りの成分は約300種類に上るといわれている。その中にはウイスキーにも含まれるエステル香(※)や果物、花の香りに似た成分も含まれているというから面白い。ウイスキーと薄焼き煎餅という一風変わった取り合わせだが、なかなかうまいと感じるのは、両者の意外な共通点にあるのかもしれない。

ウイスキーの一風変わった楽しみ方といえば、伝統的なスコットランド料理である「ハギス」が思い浮かぶ。羊の内臓をミンチにしたものに、玉ねぎのみじん切りやオートミールを加えたものを胃に詰めて茹で上げ、ジャガイモなど野菜と一緒に食すものだ。たっぷりとシングルモルトウイスキーをかけて食べるのだが、ここでのウイスキーはスパイスの役割を果たしている。

1月25日は、スコットランドの詩人、ロバート・バーンズの誕生日で、「バーンズ・ナイト」という祝賀会が催される。パブではバグパイプを演奏しながら、皿に乗せられたハギスが店内を周り、バーンズの有名な詩「Address to a Haggis(ハギスへの演説)」を朗読。詩の内容は、ハギスはとてもエネルギッシュで最高の食べ物である、というようなもので、詩が朗読されたあとはハギスにナイフが入れられ、店内はたちまちハギスとウイスキーの香りで満たされるのだ。

「バーンズ・ナイト」に余市と宮城峡のモルトウイスキーを持参で参加したら・・・。想像すると実に楽しい。ウイスキーの楽しみ方は、人や国によって様々だ。「こんな面白い楽しみ方がある」という人がいらっしゃったら、ぜひ、ご伝授いただきたいものである。
(※)酒税法の改正 改正前は、アルコール度数8度のものでも37度分の高い酒税が かかり、その結果、小売価格が非常に高くなってしまうという問題点があった。税率が改正されることで、アルコール度数8度から12度の間で酒税が軽減され、妥当な価格の水割りウイスキーの発売が可能になった。
(※)エステル香 ウイスキーに含まれる脂肪酸とアルコールが反応して発生する甘く華やかな香り。